【山に還す】
間伐材を原料にした ” 木糸” が織り成す地球と共存する社会
木の糸コンソーシアム
近年『森林』は、地球温暖化による二酸化炭素を吸収する仕組みや、大雨による自然災害から下流域の都市部を守るなど、私たちの生活にとって非常に重要な役割を持つことが再認識されています。
その反面今日、日本では森林の生態系を維持し続ける上で危機的な状況に置かれています。
■日本の森林の特徴
日本の山で見られる森林の樹々は、成⻑が比較的早いスギや、高級木材として利用されるヒノキを中心に構成されており、戦後まもなく空襲で焼け野原になってしまった山に植林された樹々が50〜60年の歳月をかけ成⻑し、現在の姿となりました。
日本は、国土の森林率が世界でも上位20位以内に入る森林国でありながら、森林面積の約4割が人工林です。
森林面積は100年間ほぼ変わりませんが、その内訳を見ると天然林が減少し、人工林の比率が拡大しています。
■我が国の森林環境が抱える問題
下刈りや間伐などで定期的に手入れされた人工林は、根の発達が促され、風・雪害に強い森林となるほか、林内の光環境が良く、下層植生が繁茂し、表土の流出を防ぐという本来の役割を果たします。
しかし、1980年をピークに、林業離れによる後継者不足や就業者の高齢化などが影響し、林業産出額は減少の一途を辿っており、資源として利用できる森林蓄積は年々増えているにも関わらず、多くの人工林がそのまま放置されているのが現状です。
木は20年を過ぎるとCO2の吸収量が減り、40年を過ぎると半減します。
また、下刈りや間伐がされない山の地表には日光が届かず、草木の根が張らないため、土が痩せていきます。
このような状況で大雨や台風などが発生した場合、根が水を吸いきれず土砂崩れが発生しやすくなってしまいます。
森林は、木を植え、育て、伐採を繰り返し循環させなければ、その環境を維持できません。
私たちは、木の利用を増やし、森林の世代交代を促し、バランスが良い森林環境の保全に協力しなければならないのです。
■生糸→ ”木糸” で森林に還元を
こうした問題背景から、私たちは地元の間伐材を原料とした糸 『木糸』 を生成し、それを用いた糸や布を材料にメーカーがTシャツやタオル等の生活製品を生成販売 →その売り上げを原資に、再造林・植林・リサイクルを行い、森林に還元する
という、「山を守るための循環活動」を ”木から生まれる繊維” を通じて行なっています。
近年のファストファッションに見られるような利益を優先した大量生産・大量消費は、サスティナブルな社会作りには適していません。
この取り組みは、利益を追求するものではなく、自然との共存共栄を軸に、森林の生態系を保護し、山の治水力の低下や砂漠化など、地球環境への影響を最小限に抑えながら次世代へと繋ぐ事を基本としています。
我々はこの活動を通し、地域と連携したコンソーシアムを作り、森林環境の保護・保全をはじめ、技術の共有、人材育成、啓蒙啓発などを進め、各地域の森林環境を守りながら、持続可能な社会の拡大へと導きます。